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宇宙スタートアップ企業見学ツアーレポート報告 

本プログラム事業の一環として、アントレプレナーシップ涵養のため超小型衛星プロジェクトに参加しているSSSRC学生対象に「宇宙スタートアップ企業見学ツアー」を開催いたしました。

  日 程 2020年10月16日(金),17日(土) 2日間
  訪問先 JAXA筑波宇宙センター,WARPSPACE ,株式会社インディ―ジャパン
参加学生 9名(M2:5名,M1:1名,B4:2名,B3:1名)

今年は、新型コロナウイルスの影響で、感染症拡大防止策を常に意識しながら企業見学を実施いたしました。

初日は、JAXA筑波宇宙センターでの施設見学、JAXA発のベンチャー企業であるオリガミ・イーティーエス合同会社を訪問。2日目は、2020年4月17日に開催しましたPERSEUS講演会でご講演いただきました常間地悟氏の宇宙ベンチャ―企業WARPSPACEの施設やプログラム共同参画機関である株式会社インディージャパンを訪問し、様々な宇宙スタートアップ企業の現在の状況など意見交換しながら、いい刺激を受けた事と思います。

<JAXA筑波宇宙センターでの様子>

 

<WARPSPACEでの様子>

  

 

事後アンケート

1.宇宙における大型展開アンテナにおける日本の技術力向上のために、解析ソフトの普及やコンサルティ
   ングをベンチャー企業として展開することに対して、企業側、顧客側、日本の宇宙業界それぞれに対し
   て、どのようなメリットがあると思いますか?

企業側 ・今後増加していくと考えられる大型展開アンテナの解析を一手に引き受けることで、展開ミッションを持つ多くの顧客を確保できる。
・これから参入してくる企業が多いと予想される宇宙業界で事業を展開することで、今後多くの利益を上げることができる。
・そもそもが宇宙産業において大型宇宙アンテナが有用であると考えたため、研究を行っていた。それを世に広められること自体がメリットであると考えていると思う。また、必要に駆られて開発したツールを用いて資金を調達できる。入れたミッションの検討しやすくなる。
・今後も増加していくと考えられる大型展開アンテナの解析を引き受けることで事業の拡大が期待できる。
・大型展開構造物に関する信頼性のある解析ソフトを提供したりコンサルティングを行うことで、大型展開構造物を持つ衛星の開発を行う他の企業や団体といった顧客を得ることができる。
・宇宙用大型展開構造解析ソフトをJAXA内の業務のみならず外部での業務にも適用することで、今までのように内部の顧客だけでなく外部の顧客を相手にすることが可能になり、より資金を獲得することができる。
・JAXAから企業をスピンオフすることで宇宙での利用に縛られず様々な産業においてユーザーを獲得できる。
・独自の高度な技術が多くの人工衛星に採用されることで多くの顧客を獲得するとともに、自分たちの技術が宇宙上で利用される。
・ベンチャー企業として展開することで、大型展開アンテナを用いる宇宙機の顧客の獲得及び支援ができる。
顧客側 ・複雑な解析を信頼されたソフトに任せることで、他システムの設計等に時間がさけることが大きなメリットである。
・便利な解析ソフトが普及し、コンサルティングを行ってくれる企業が生まれることでで宇宙業界参入への敷居が下がる。 
・大型展開アンテナの解析が容易に行えるようになることで、今後の宇宙アンテナの選択肢として大型宇宙アンテナを選択がしやすくなる。 
・きく8号で実証された信頼性のあるソフトウェアでの解析を受けることでミッションの成功確率をあげることが可能となる。 
・企業が提供する解析ソフトを活用することで、大型展開構造物の複雑な構造的欠陥やウィークポイントを見つけることができ、結果としてミッションを達成させやすくなる。 
・信頼性のあるソフトウェアを使用することが可能になるため、顧客側の事業の成功率が上昇する。 
・今までにない構造体を採用することが可能になったり、新しい手法で既存の構造体を解析することでさらなる改善が可能となる。 
・雑な機構である大型展開アンテナに対して、専門の企業から技術的アドバイスや専門のソフトを得ることができ、信頼性を高めることができる。また、開発に割く時間を大幅に削減することができ、システム全体の完成度が高い衛星を開発することができる。 
・宇宙機に大型展開アンテナを搭載する際の技術開発をより容易に行うことができる。
日本の

宇宙産業

・展開系のミッションにおいてさらに複雑で多様な試みを行うことができると考えられる。
・宇宙関係のソフトや企業が展開されることで、宇宙業界に参入する敷居が下がって業界全体の規模が大きくなり、優秀な人材やお金が集まる。日本規格の解析ソフトや、日本独自の宇宙ベンチャー企業の成功例が生まれることで、世界の宇宙業界をリードしていく存在になることができる。
・上記と同じような理由で、大型展開アンテナを視野に入れたミッションの検討しやすくなる。
・大型展開アンテナの解析を引き受ける企業の存在により大型展開アンテナを高い精度で解析することができる。また、解析結果を企業が蓄積することで将来的にはさらに高精度な解析手法の開発が期待できる。
・ミッション内容として大型展開構造物への注目を促進させることができる。
・宇宙用大型展開構造解析ソフトを使うことで他の民間企業での展開ミッションの成功に貢献することになると同時に使用されたことでその内容をフィードバックし、解析ソフト自体の完成度もあげることができ、より複雑な展開ミッションにチャレンジできる機会が生まれてくるなど宇宙業界全体を発展させることができる。
・産業全体に対する貢献を示すことで宇宙産業と他の産業との融和を進めることができる。
・企業と顧客がうまくコラボレーションすることによって、日本の宇宙業界はより高度なミッションをより素早く達成していくことができる。
・大型展開アンテナを利用した宇宙機の開発が活発化、大型展開アンテナの技術向上が見込まれ、通信の安定性が必要なミッションの増加が期待できる。

 

2.Warpspaceの見学を通して、「超小型衛星をビジネスとして成立させようとしている会社」と「学生
     として超小型衛星を開発していること」の違いを感じましたか。また、どのような点の違いを感じまし
     たか。

・バスシステムがキット化されたものを外注することについて、外注する際に複数の会社で商談を競わせ自社に対してより有益なシステムを購入するという話があったが、外部の企業・機関に対して対等以上に渡り合える点に大学衛星とビジネスの大きな違いを感じた。
・資金集めの難しさに違いを感じました。また、どの企業も「助成金なし」「事業をうまく回せていない宇宙産業で活動する」企業と、「学生というだけで応援してもらえる」私たちとでは、同じような活動をしていても「資金の集めやすさや集め方」が全く異なるのだと感じました。
・基本的に学生が好きで作っている団体なので、開発に必要なお金は材料代は試験設備代や加工費だけで、開発者の労働に対する賃金は発生しない。一方で、会社では設計や企画の段階から労働者の賃金が発生してしまうため、その賃金と比較した場合、外注する方が安価で開発できるというようなことが生じうる。このような、考え方は賃金の発生しないうちの(学生)団体との大きな違いだと感じた。
・全体的にWarpspaceの超小型衛星は自分たちの衛星と比較して完成度が高かった。自分たちが衛星を統合してから直面した問題もWarpspaceではEM段階で考慮されていることが基盤から見て取れるなど知識や経験の量・質に大きな違いを感じた。
・バス部を外部に委託し、複数の会社で競争させ、より適した条件のものを選択するという方法は、企業ならではのやり方だと感じた(学生では、企業相手に対等に交渉ができないこともある)。また、サブシステムを外部に委託することで、開発ペースも上げられているのではないかと感じた。
・今回Warpspaceの見学を通して自分たちのような衛星開発団体と比較して、Warpspaceのような企業ではただ衛星を開発する場所というわけでなく、その先にある衛星の利用・サービスまでも視野に入れて行動しているという点に違いを感じた。
・我々の学生団体のプロジェクトは好奇心や研鑽のための部分が大きくなるところがあり車輪の再発明も多い。それに対し、企業の場合は事業のコアな部分に注力するために外部を最大限活用し資金や人的リソースを集中的に投入する。もっとも外部リソースの活用には知識が必要でありそれらの知識を涵養するための方法として学生の衛星開発による教育は有用でないかと考える。
・ビジネスモデルをしっかりと検討していること。顧客を意識し、将来どのようにビジネスとして成り立たせるかを考えてる点。
・スピード感を持ってクオリティの高い衛星を実現することを重視しており、重要なシステムは自分たちで開発を行い、本質ではない部分は、衛星キットなどの汎用システムを用いるという切り分けを行なっている点。
・自分たちのように学生として衛星を開発している場合、衛星を開発するという経験自体に価値を見出しがちだが、ビジネスとして衛星開発を行う場合、利益を大金銭面についても考える必要があるため、バス部の外注において、複数の候補先を競わせるなど、より安価に必要な価値を手に入れる工夫がなされている点について、学生とビジネスの差を感じた。

 

3.Warpspaceは筑波大学と連携して開発を進めることで、お互いに相乗効果を出していると思います。
     府大でも、小型衛星を開発しているベンチャー企業と連携出来たら、どのようなメリットがあると思い
     ますか。

・開発が行き詰まりそうになった際に気軽に技術的なアドバイスを求めることができ、開発に対して明確な見通しを立てやすいこと。
・資金の集めやすい学生であるというブランド力と、苦労しながら資金を集めているベンチャー企業の広報力や資金集めのノウハウを活かせば、従来よりも楽に資金を集めることができ、より開発に集中できる環境が整えられるというメリットがあると思います。
・資金的な援助、技術的な援助、アドバイスなどを受けられる。学生側はそのベンチャーに就職する、またはお世話になった企業として広報活動に協力するなどで還元ができる。
・お互い使用する設備を共同で購入するすることが可能となり費用節約につながると考える。また、異なる設計思想を持つ開発チームが身近にいることは自分たちの設計を客観的に見る良い機会となり開発に貢献すると考える。
・ベンチャー企業の強みである技術力を利用できたり、コネクションが増えることにより情報をより多く得ることができると考えられる。また、お互いが持つ施設や試験設備を共有し、開発費を抑えることもできると考えられる。他にも、資金提供を受けることができたり、資金集めの手段も拡大できるきっかけになりうると思われる。
・小型衛星を開発しているベンチャー企業と提携することで提携先の企業との技術交流の増加や実験設備の共有等を行うことができ、結果として自分たちの衛星の完成度を高めることができると考えられる。
・企業の新技術・ビジネスに対する実験場になるなどの形が考えられるが、ビジョンの共有や技術交流などを通じて学問・工学的なものだけでなく宇宙産業の情勢を含めて総合的に成長することができる。
・ビジネスを意識した衛星を検討することができること。また、まだ民間ではほとんどビジネスとして成り立っていない衛星開発産業の開拓を一緒に進めることができ、アントレプレナーシップを実践の中で育むことができると思う。衛星をどのように外部に見せ、お金をとって来て、売り込むかということも体験することができるため、開発に興味がある工学部の人だけでなく、様々な人をプロジェクトに巻き込むことができると思う。
・開発面においては、双方の設備を共有したり、双方の人のつながりを用いて開発のサポートが得られるなどのメリットがあると思う。広報面において、ベンチャー企業と、学生では注目してくれる方々も異なってくるため、より多くの方々から注目してもらえる可能性があると思う。

 

4.「選択肢の一つとして起業がある」という話がありましたが、このことを知らなかった頃のことを振り
      返ってみると、学生の間にこの事実を知ったことは(自分が起業するかどうかに関係なく)、今後、社
      会を見るにあたって、どういう影響があると思いますか。 また、学生の間に起業を含めた様々なビジネ
      スについて、どんなことを詳しく学んでおくべきだと思いますか。

・ただ単に企業に就職するのではなく、社会システムに求められているモノや自身に関わる分野以外にも目を向けることができるようになるため、多角的な視点で社会を見る力がつくようになると思った。また、工学系の学生は工学的な視点で見る影響を強く受けているので、起業に関わらず、ビジネスに関わる人間として経済や金融、政治の勉強も少なからず学んでおくべきだと思った。
・私は来年企業に就職しますが、将来なにかやりたいことが見つかったときに「起業」という選択肢が出てくるようになりました。また、このツアーで起業は「情報や人と人のつながりが大切」ということを知ったので、社会の様々な情報にアンテナを張る大切さを感じました。特に、つくばスタートアップパークを見学した際に、市や県、国が様々な支援や助成金による援助を行っていることを知り、これらのしくみについて知っておくべきだと考えました。
・真に今自分が社会においてやりたいことは何なのか、今の組織でそれができるのかということを考えることができるようになった。これは、企業の選択肢を知ったことで、社会において自分のできることは無限大であることを気づかされたからである。また、津嶋さんは本当に知識が豊富で、その知識と経験から論理的に先を見通しているように感じた。お話しくださった様々な内容から、具体的には、金融、社会におけるお金の流れ、政治や歴史などを学ぶことで自分らがどのように行動すれば結果どのようなことが起こるのか想像しやすくなると感じた。
・企業に就職するとどうしても金銭感覚がミクロになりがちであると考える。今回のお話で興味深かったのは起業する際に考えるマクロなお金の視点だ。特に投資者の思惑を理解し、それに見合った提案を行い資金調達を容易に行うことや設備を格安に利用するといった「お金もハックできる」という概念は今回初めて学んだことであり、今後自分が社会を見るにあたって役立つと確信している。また、学生の間には少なくとも自分が興味のある業界を構成する企業・組織の関係(それぞれがどのように需要と供給を行っているか)を学ぶべきだと考えた。
・就職や転職であれ起業であれ、自分が変わる(あるいは人生を変える)チャンスを見つけたときに、いつでも動き出せる心構えや勇気を持っておくことが重要であると感じた。また、そのチャンスを発見するにも多くの情報を得ることが重要であり、そのためにも自分の目指す業界でのコネクションを作ることがまず第一歩であると感じた。今回、街づくりには歴史的背景があることを知り、必然的な要素もあると分かった。自分が目指す市場における経済や金融の成り立ちや仕組みも学んでおくべきだと感じた。
・学生の間に起業が選択肢としてあるという事実を知ることによって、ほとんどの学生のように単に大学を卒業して有名企業に就職するのではなく、起業とまではいかなくとも真に社会に必要とされているものを深く考え、自分のこれからの指針を振り返る良い機会になるのではないかと思った。また学生の間に各々の専門分野の勉学のみならず、ビジネスに必要な経済や法律、金融の知識もつけておくべきだと思った。
・ベンチャー企業に対する認識が今まではインターネットを通じて得たような若い人々による華々しいものが主だったのですが、成熟した人たちによる爆発力はないものの確実に世界に食い込む形もあると変化しました。世界の要素をシステムとして認識し分析していくことは社会の見方として強力なものであり学生のうちに身に着けることで強力な武器になると考えます。
・会社の中に入り、そこの中で偉くなることがキャリアではなく、自分が何を成し、何をもたらしたいかを考え、それに必要な立場に就くことがキャリアであるという考えが持てた。会社に入り、雇われる立場でいると「会社の中でできることは何か」という狭い視点になりがちだと思うが、会社を出て起業するということが一つの手段として考えられるようになったと思う。自分が成し遂げたいことというのは、早ければもう生まれてきているし、働いていれば徐々にできてくると思うが、そのようなものが生まれた時にすぐに動けるよう、起業も含めどのような達成手段(資金集め、人集めの方法など?)の事例があるかを知れるといいと思う。
・今までは、大学へ行き、企業等へ就職するという道しか見ていませんでしたが、選択肢としての起業を知ることによって、より多角的に社会を見ることができるようになると思う。企業への就職という選択だけでは実行できないことや、企業という大規模だと実行しづらいことも世の中には存在し、企業に就職するという、いわゆる安定した道以外にも大きな価値があることを知ると、社会システム構成するモノに対する捉え方が大きく変わると思った。
工学の学生は、技術そのものや、それを用いて何かを作ったりすることに興味を持ちがちであるが、それらが社会の中でどう役に立つのか、社会の中でどのような価値があるのか、ということを考える考え方を学ぶべきだと思う。