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【プレスリリース】事後評価で最高評価「S 評価」

文部科学省宇宙航空人材育成プログラムにおいて、12月23日の事後評価報告の結果、

最高評価「S」評価をいただくことができました!

事後評価結果の詳細(文部科学省webサイト)

≪評価結果≫

プログラム名:宇宙航空人材育成プログラム「超小型衛星開発とアントレプレナーシップ教育を通じた宇宙システム活用人材の育成」

事業期間:平成30年度~令和2年度

総括評価:S;優れた成果を挙げ、宇宙航空利用の促進に著しく貢献した。

宇宙開発は単なる技術の寄せ集めではなく有機的な結合があって初めて成り立つ領域であることを念頭に、モデル化概念、プロジェクト推進、アイデアの具現化のための発想の実現方法などを学ぶ体制を十分整えており、学生が学ぶことへの楽しさを得ている点、モデル化のための学習法としてのゲーム感覚で学ぶカードゲームの開発などの面白い取組をしている点、宇宙産業のための起業を学ぶ体験により仮説検証、ビジネススタートアップ、アントレプレナーシップなど、教育機関として困難なテーマに取り組んだ点や、各種コンテストへの積極的な参加の呼びかけをしている点、宇宙科学技術研究センターを設置して事業の継続性を図っている点についても高く評価されました。

講演会の様子

講演会の様子

JAXAへの衛星引き渡しの様子

ワークショップの様子

 

 

 

 

 

 

大阪府立大学Webサイト:https://www.osakafu-u.ac.jp/press-release/pr20220309/

 

 

また、下記の方々より、喜びのコメントをいただきました。

プログラム代表者/大阪府立大学 工学研究科 航空宇宙工学分野  小木曽望 教授

宇宙航空人材育成プログラムでSという最高評価をいただけたことは、小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)の学生たちが頑張った成果が評価されたことであり、とてもうれしく思います。これには、この事業がスムーズに進むようにサポートしていただいた関係者の皆様、また、SSSRCの学生のモチベーションが向上するようにいろいろと画策していただいた皆様、さらにはSSSRCの活動に協力していただいた学内だけでなく学外の多くの方々のおかげです。ありがとうございました。

まずは大学関係者にお礼申し上げます。この「宇宙航空科学技術推進委託費」という仕組み。「委託」というのは承認された計画通りに実行するべきものという仕組みがわかったのは事業が終わった後だったのですが、事務的な縛りと書類がとても多く、驚きました。その事務を取り仕切っていただき、文科省からのとても細かい要求に丁寧に対応していただいた柴田美紀さんのおかげで、3年間、乗り切ることができました。ありがとうございました。そのような事務体制がとれたのも、採択後にテキパキと処理していただいた若木理恵さん、髙田真由美さん、そして、高度人材育成センターに事務を置く体制を作っていただいた松井利之先生、藤村紀文先生のおかげです。 どうもありがとうございました。また、文科省対応をしていただいた 糸賀康人さん、藤田敦子さん、どうもありがとうございました。糸賀さんには、この事業を申請するときから、いろいろとサポートいただきました。

特に、高度人材育成センターには、SSSRCの学生への動機づけにつながるサポートをしていただき、事業遂行に対する多くの提案をいただけたことは、たいへん助かりました。特に、自己評価の仕組みを作ることの重要性を教えていただいたことは、報告書作成だけでなく、自分たちの立ち位置を確認する上でとても助かりました。そして、もちろん、事務作業のスムーズな遂行にとても助かりました。 どうもありがとうございました。

続いては、共同参画機関として、この事業を引っ張っていただいた南部さん、津嶋さん、ありがとうございました。

このPERSEUSは、南部先生のSSSRCへの思いがカタチとなったものです。南部先生も大学を退職してレヴィの代表取締役に専念することになり、センター長が真鍋先生から私に代わるという変化がある中で、なんだか停滞気味であった「OPUSAT-2」の開発をなんとか成功に導くための計画でした。お金が必要なのはもちろんでしたが、それだけでは事業に採択されないので、これまでSSSRCで行っていたシステム思考の教育を体系化することと、さらに開発を遂行するために必要な「仮説検証」の考え方を浸透させることをめざしました。それには、府大の独自性であるリーディング大学院の「戦略的システム思考力演習」や高度人材育成センターで進めてきたアントレプレナーシップ教育を取り入れることが一番の近道として、計画に盛り込みました。

そこには、津嶋君の協力が得られたことがとてもありがたかったです。ウィンドミルクラブを立ち上げ、毎年、鳥人間コンテストで琵琶湖で会っていましたが、ベンチャーアクセラレータである(株)インディージャパンを創業すると聞いたときは「そんなん、経営は大丈夫かなぁ・・」とちょっと心配していました。毎月の金策に苦労しているだろうなぁと思っていましたが、「あちこちの大学で講義などをしているのに、母校の府大が呼んでくれない」という話を聞きました。大学での講演なんて、はっきり言って赤字。ボランティアです。それだけの余裕ができていることも嬉しかったですが、これも渡りに舟と藤村先生に紹介して、学内でいろんな講演をしてもらうようになっていました。ですので、スムーズにこの事業にも加わってもらうことができました。学生のモチベーションを上げる巧みな話術だけでなく、アントレプレナーシップの位置づけを焼き直してもらうことで、なかなか講演会への参加者が増えなかった状況を変えてもらうことができました。無理やり集めて十数名という状況から、40~50名が講演会に参加してくれるようになったのは、活性化に大いに役立ちました。ほんとうにありがとうございました。

この事業を実施した3年間で、(株)レヴィは、「ぺジテの自転車」のカードゲームやKATAというシステム思考教育ツールの開発、システム開発に必須のWEBツール「Balus」の機能強化、さらには「Balus2.0」の公開があり、大きく発展しました。特に、「きぼう」のプロマネを務めた竹内芳樹氏が「ぺジテの自転車」に興味をもっていただき、現在はレヴィの顧問を務めていただき、レヴィが日本の宇宙のトップとつながるようになり、レヴィが創業期から発展期へと移ったことは、実はこの事業の一番の成果ではないかと思っています。

もちろん、「ぺジテの自転車」、「Balus」、「Balus2.0」は、学生がシステム思考を理解する上で、とても役立ちました。学生の理解がなければ、コロナ禍での室蘭工大との「ひろがり」の開発があれほどうまく進むことは無かったと思います。ちなみに、「OPUSAT-2」を「ひろがり」と名前を変えさせたことが、私の唯一の成果だと思っています。誰も言ってくれないけど..でも、この名前で助けられたことはたくさんあったように思います。

SSSRCの学生に対して、まずはこのPERSEUS事業、PERSEUSというわかりやすい名前とマークも作ってくれたSSSRCの学生にも感謝です。この名前が、事業遂行にもいろいろと役立ちました。
SSSRCの学生のがんばりとして、やはり、「ひろがり」の成果もとても嬉しいことでした。JAXAがJ-SSOD7を民間に移行するので、2020年度限りで契約打ち切りという話があった時はとても驚きました。間に合わないとお金がかかるだけでなく、学生のモチベーションが続かないとも思っていましたし、なんとか間に合わせることができたことも、とても助かりました。特に、筐体の作り直しをしていただいた生産センター、振動試験のやり直しに対応していただいたIMV(株)、アルマイト処理の特急対応をいただいた(株)中金の協力なしには間に合わなかったと思います。

最後の振動試験は確かにうまくいきましたが、その前にスイッチ破損が起きていただけに、放出後に電源スイッチが入るかどうか、とても心配でした。2021年2月21日にワロップス飛行施設から打上げでは、発射時のアンタレスロケット振動が大きいように見えて、もう壊れたかもしれないと心配しました。それなのに、文科省から電話がかかってきて、荻生文科大臣が記者会見で「ひろがり」の名前まで出すからとのこと[1]で、いろいろと状況を聞かれました。エライことになったなぁと思っておりました。

3月14日のISS放出まで記者会見をするなんて大丈夫なんだろうか、と心配していましたが、危惧してた通り、ファーストパスでは電波が届きませんでした。その後、一週間にわたって電波がとれない時は不安が的中したものと思っていました。総務省からは「デブリになった場合は速やかに連絡を」なんてメールは届くし。ただ、一週間後にCWが届いた時はとても驚きました。もう、その頃はあきらめている人も多く、Zoomの中継もほとんど人がいませんでした。画面に変なピークが立っているのを見ても「ひろがり」のものとは想像できず、「どの衛星の電波なの?」とチャットで訊きました。森瀧君から「ひろがりの電波のようだ」とチャットで回答が来たときは、とても驚いたことを覚えてます。その後もいろいろ苦労があり、「ひろがり」ではなく「つなわたり」の運用が続きました。最終的には、片方のパドルが半開きで、「厚板ミウラ折りパネル」の画像計測が予定通りにはいかなかった(だけど、三次元形状計測としてはかなりのリカバーができている)ことを除いては、大成功をおさめ、ミッション達成の記者会見までできたことは、とてもうれしく思います。

それだけではなく、この事業を通して、SSSRCの学生が、「ハッカソン」「スタートアップウィークエンド」「ビジネスアイデアコンテスト」などに積極的に参加してくれるようになったことは、とても嬉しく思います。今年度は、私の知らないうちに「衛星設計コンテスト」にも出て、しかも「電子情報通信学会賞」のような立派な賞まで取ってくるなんて、その積極性と成果に驚きました。これも、高度人材育成センターからの積極的な呼びかけのおかげだと思います。
興味があれば参加してみるということは簡単そうに見えても、いろいろと躊躇してしまうものです。その壁を乗り越えられるようになったことが、とてもうれしく思います。参加することで、楽しいこと、学べることがたくさんあり、自分の成長が実感できる機会を利用できるようになることは、いろんなことの好循環につながります。それを実感できる学生が増えたことは、嬉しいことです。

私自身は、この事業を実施したことで、学外の多くの方に出会うことができました。講演をいただいたWarpspaceの常間地さんや、きぼうプロマネを務めた竹内さんなど、非常に刺激を受けています。また、事業には直接は関係していないけれど多くの方々に出会い、この3年間で世界が広がりました。そのことが自分自身の成長にもつながりました。新たな研究テーマも見つかりました。それも予想外の成果です。

SSSRCでは、次の衛星ミッションも決めて、立ち上がるようです。それに、新たに「ハイブリッドロケット」に取り組むことになりました。私一人で見ているには、正直、とても不安です。しかし、学生の「活動したいという気持ち」は大事にしないといけません。それを自分の能力や時間の限界で辞めさせるのではなく、頑張っていれば多くの人が助けてくれるということを信じて(他力本願ですが、けっこう当たってます。)、学生の活動を見ていきたいと思います。そのことが、SSSRCの発展にもつながるはずです。

[1] (https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00140.html 萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年2月24日))


プログラム共同参画機関代表者/株式会社レヴィ 代表取締役 南部陽介 氏

この度は、多大なるご評価を頂戴し、心より感謝いたします。 学生の意欲と関係者の熱意が、今回の成果につながったものと考えています。共同参画機関として、主にシステム思考やシステムズエンジニアリングの教材開発と、小型衛星開発の支援を行ってきましたが、レヴィにとっても、多くの学びを得られた意義深い取り組みでした。本プログラムで培われたシステム思考力×仮説検証力×アントレプレナーシップを持つ若者たちが、次世代の宇宙開発利用を促進させていくことを期待しています。


プログラム共同参画機関代表者/株式会社インディージャパン 代表取締役 ネージングディレクター 津嶋 辰郎

この度は3年間という長期間にわたる教育プログラムへの参画という貴重な機会をいただきまして有り難う御座いました。今回いただいた評価も学生のみなさまの努力はもちろんのこと、ご尽力頂きました先生方、運営事務局のみなさま、そして数多くの外部講師のみなさまの多大な貢献の上に頂けたものだと確信しております。
これから世界は益々、理工系出身のアントレプレナーを求めるフェーズに入っていくと考えております。今回のプログラムを経た学生が各分野で活躍してくれることを心から願うと共に、大学教育においてもこうしたプログラムの継続実施が当たり前になる未来を期待しております。


プログラム参加学生/工学研究科 航空宇宙工学分野 M1 仲瀬寛輝 さん

この度は、宇宙航空人材育成プログラムにおいて栄えある最高評価を頂きましたこと、大変光栄に思うと共に引き締まる思いでもあります。本プログラムでは、超小型人工衛星の実践的な開発を行うだけではなく、宇宙スタートアップ企業の方との交流や現地調査を通して、宇宙業界の動向に関して学ぶことができ、非常に実りのある事業であったと改めて感じております。本事業の実施・参画してくださった先生方や関係者の皆様に心より御礼申し上げます。また、センター一同継続的な活動を行っていきたいと思います。今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。


プログラム参加学生/工学域 電気電子系学類 情報工学課程 B4 森瀧瑞樹 さん

PERSEUSの最終評価において最高評価をいただくことができ、大変嬉しく思います。本事業を通して、アントレプレナーシップやシステム思考やデザイン思考を実践的に学ぶことができ、非常に実用的な知識やスキルを身につけることができました。特に、宇宙関連スタートアップの方々との交流は非常に貴重な機会であり、日本の宇宙産業の現状や展望について、宇宙開発に関わる学生として学び、考えることができました。本事業は非常に多くの方々の支えのもとに成り立っており、関わってくださった全ての皆様に厚く御礼申し上げます。本事業で学んだことを今後も活かし、小型宇宙機システム研究センターの活動を発展させていきたいと思います。


プログラム参加学生/2019年度卒業生(修士課程修了)  飯田輝澄 さん

本教育プログラムでは講演会やグループワークのみならず人工衛星開発及び運用への応用を通して、アントレプレナーシップやデザイン思考など社会人にとっても重要なスキルを自分のものとすることができました。このような 貴重な機会を頂きました文部科学省様に大変感謝しております。そして、我々のプログラムに最高評価を頂きましたことを大変光栄に思います。また、こうした最高の機会を提供してくださった小型宇宙機システム研究センターの皆様に感謝の意を表すとともに、ますますのご発展をお祈りしております。


プログラム事務局/研究推進本部 研究推進課 柴田美紀

プログラム代表者の小木曽先生や共同参画機関の南部氏、津嶋氏の熱意のある取り組みを評価していただけたこと、そして学生たちの大きな成長も見守らせていただけたことを嬉しく思います。また多くの皆さまのご支援・ご協力を頂きましたおかげで、ここまで成し遂げることができました。この場を持って厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。今後も学生の皆さんの発展を楽しみに様々な形で事業継続に取り組んで邁進したいと思います。


引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。