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「JAXA 川口 淳一郎先生によるライブラリートーク」参加学生レポート報告

宇宙航空研究開発機構(JAXA)小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトでプロジェクトマネージャーを務めた川口 淳一郎 先生をお招きし、ご自身が携わる研究やプロジェクト、著書について学生へのメッセージをこめて講演会が大阪府立大学 学術情報センター大ホール(Uホール白鷺)で行われ、参加した学生に講演についてのレポートを書いていただきました。


こんにちは、SSSRC (小型宇宙機システム研究センター) 修士1回生の坂野文香です。

2019年4月24日に、大阪府立大学図書館主催のイベント「Library Talk」で、はやぶさプロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めておられた川口淳一郎先生の講演会に参加しました。講演会は「やれる理由こそが着想を生む~はやぶさ式思考法~」というテーマで、川口先生の紹介から、はやぶさ開発に至るまでの経緯、はやぶさ2に関するお話までアイスブレークを交えつつ講演していただき、とても興味深く聞かせていただきました。川口先生はとても面白い方で、聞き手が退屈しないようにアイスブレークで愉しい話を紹介してくださったり、自分の体験を交えてお話ししてくださったりと、自分が発表するときに、是非参考にしたい点が沢山見つかりました。

さて、今回の講演会で特に私が興味を持ったのが、はやぶさ開発に至るまでの経緯です。

日本の宇宙開発は、NASAの歴史の後追いでいいのか、太陽系惑星の探査を続けることが本当に将来のためになるのか、という葛藤を経て、小惑星探査という道を選び、結果として世界を大きくリードすることとなるはやぶさ開発のお話からは日本のプライドをかけて取り組んだという熱量が伝わってきました。

この小惑星探査という目標を見つける際に、先生はシステム思考という言葉を使ってらっしゃいましたが、ちょうど最近よく聞くようになった言葉を40年近く前から実行しているというのに驚きました。また、ミッションを考えるだけでなく、イオンエンジンという先進的なエンジンを開発し、技術面でもライバル NASAに負けないようにと奮闘する、チームの力の大切さを感じました。

また、もう一つ感銘を受けたのが川口先生の「伝統の力」という言葉です。先生のお話では、はやぶさ開発メンバーの入れ替わりを経てもなお、はやぶさ2を成功させることができたのは、はやぶさ2開発メンバーが持っている、はやぶさを成功させた組織を継承する私達にできないはずがない、と信じる気持ち、伝統の力とのことです。

さてこの言葉をSSSRCに当てはめて考えてみると、はやぶさがOPUSAT、はやぶさ2が現在開発中のひろがり(OPUSAT-II)にあたります。現在のメンバーは、OPUSAT開発メンバーから大きく様変わりしましたが、OPUSAT時代の打ち上げを記念する色紙や動画は、今だにセンターに受け継がれています。私たちセンターに所属するメンバーの間でOPUSAT時代の話がでることはほとんどありませんが、難しい問題に直面したときに、私自身確かにOPUSATの時はしていたのだから、先輩に出来たのだから、やってみようと思うことがあります。

ひろがりプロジェクトが成功するかはまだ分かりません。しかし今回の講演会を聞いて、OPUSATからの伝統の力を引き継ぎ、ひろがりだけでなく、さらに次の世代にも人工衛星開発を成功させたい、成功させていって欲しいと思いました。