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宇宙科学技術研究センター 第2回 講演会参加レポート報告

12/15(水)宇宙科学技術研究センター(センター長:小木曽望[本プログラム代表])にて宇宙開発の最前線で携われている方であり、小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーでもある宇宙航空研究開発機構(JAXA) の津田 雄一氏の講演会が開催され、このイベントに(SSSRC学生を含む)学生70名が参加しました。

※宇宙科学技術研究センターは、本学21世紀科学研究センター、学域・研究科の枠を超えた学際あるいは分野横断型研究を進める「21世紀科学研究所」群で構成する研究組織の一つです。

宇宙科学技術研究センター 2021 年度 講演会

 

日  時 2021年12月15日(水) 14:35~16:05
会  場 B3棟 1階 116教室
参加者数 (会場)学生60名、他、
(オンライン)学生20名、他

今回はZoomを使用し、ハイブリッドで開催されました。
講演では、「はやぶさ2」ミッションの事やそれ以外のミッションについてもご講演いただきました。その中でも、 津田氏ご自身の「はやぶさ2」の機体製作実話の話は特に、SSSRCの学生たちから感嘆の声が多くあがっておりました。質問時間では、たくさん学生より熱心な質問が多くあり、時間ギリギリまでご回答いただきました。講演後も津田氏に直接、話を伺えるなど学生にとっては、憧れの津田氏との交流も深めることができ、大変有意義な時間となりました。

<講演の様子>

会場(B3棟116教室)

オンライン会場

質疑応答の様子

講演後の様子

 

 

 

 

 

 

 

参加学生からレポートを書いていただきました!

 


先日の2021年12月15日に、JAXAの津田雄一さんの講演会に参加させていただきました。今回の講演では、プロジェクトマネージャーを務められていたはやぶさ2がメインの内容であり、主にはやぶさ2が小惑星「りゅうぐう」に近づいた後のミッションで苦労話や得られたサンプルを回収するためにオーストラリアまで行った話等、様々なことを教えていただきました。今回はそんな中で個人的に注目した点について二つほど感想を書かせてもらいます。

一つ目ははやぶさ2はEMを作っていなかったという点です。EMというのはEngineering Modelの略で、簡単に説明いたしますと地上で耐久試験などを行うために作る、実際に宇宙に送るものと同じ機体のことです.作らなかった理由としては、予算や軌道の問題など並々ならぬ事情があったとお聞きしましたが、人工衛星の作成においてはなかなかにチャレンジングな試みということもあって、講演を聴いていたSSSRCメンバーが騒めき始めるほどでした。

二つ目は予算を文科省から降りたJAXA用の資金のみからまかなっていたという点です。末端とは航空宇宙業界に携わっている立場として、国からもらえるお金が他国の宇宙関係の機関に比べるとだいぶ少ないというお話は何となくは聞いておりましたが、予想していたよりも大分少なく、そんな中でも安かろう悪かろうではなく世界一の物を作って最高の結果まで残したJAXAの皆様には頭が上がらない思いでございます。

最後に、貴重な講演をしていただいた津田さんと、取り計らっていただいた小木曽先生に感謝の意を述べて締めさせていただきます.本当にありがとうございました.

工学域 機械系学類 航空宇宙工学課程3年 湧川大聖

 


今回の講演会では、はやぶさ2を成功に導いた津田さんのエンジニア及びプロマネとしての思考や、哲学の一端に触れることができた。それらの中でも、講演そのものとその後の質疑応答において、特に印象的だったものが2つある。

まず一つ目は、「予算が少ないということは、リスクが取れるということ」という考え方だ.日本の宇宙産業は規模が小さく、たとえJAXAのプロジェクトであっても、諸外国と比べれば予算の面で大きく劣る。このことは、私も前々から知っていて、そして当然のごとくそれをネガティブなこととして捉えていた。ところが、津田さんは同じ事実を「リスクを取って挑戦的な開発ができる」とポジティブに捉えており、今まで自分になかった視点にハッとさせられた。

二つ目は、「物事は、ヒエラルキーではなく物理で決まる」という言葉だ。上司や先輩が100%正しい、ということはありえず、若手や後輩も積極的に意見を出していくことが重要だが、そこには精神的ハードルがあり、乗り越えるのが容易でないこともしばしばある。私自信も度々感じているこのあたりの難しさについて、改めて「乗り越えなければならない(というより、乗り越えるべき)障壁なのだ」と確認することになった。
今までの自分がもちあわせていなかった新しい視点を得られただけでなく、自分がまだ実践しきれていないことがらがいかに重要であるかも改めて認識でき、とても意義深い講演会だった。

工学域 機械系学類 航空宇宙工学課程2年 浅井拓人